「採血が必要です」
そう言われた瞬間、子どもの表情が固まり、泣いたり逃げたりしてしまった経験はありませんか?
我が家の子どもも採血への不安が強く、先日予定していた採血を受けることができませんでした。
親としては「せっかく1時間もかけて来たのに」「なんとか頑張れなかったかな」と複雑な気持ちになります。
しかし私は大学時代にチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)について学ぶ機会があり、その中で知った「プレパレーション」の大切さを思い出しました。
今回は、採血が怖い子どもや不安が強い子への関わり方について、我が家の経験を交えながら紹介します。
採血を嫌がる子どもは「わがまま」ではない
採血が苦手な子を見ると、
「少しだけだから頑張ろう」 「みんなやっているよ」
と声をかけたくなることがあります。
しかし子どもにとって採血は、
- 何をされるのかわからない
- どれくらい痛いのかわからない
- いつ終わるのかわからない
という不安のかたまりです。
特に発達特性のある子や不安が強い子は、「見通しが立たないこと」そのものに大きなストレスを感じることがあります。
うちの子は体格が良く、実年齢よりも2学年ほど上に見られることがあります。
そのためか、周囲からは「これくらいなら大丈夫だろう」と思われることも少なくありません。
でも、体の大きさと不安への感じ方は別の話です。
見た目は大きくても、初めてのことや見通しの立たないことに強い不安を感じる子もいます。
私自身も、「これくらいの年齢だからできるはず」と周囲の期待と現実との間で悩むことがありました。
だからこそ、年齢や体格だけで判断するのではなく、その子が今どんな気持ちでいるのかに目を向けることが大切なのだと感じています。
プレパレーションとは?
プレパレーションとは、子どもが医療行為を受ける前に、年齢や理解に合わせて説明し、心の準備をすることです。
採血や検査の流れを事前に知ることで、
「何をされるかわからない」
という不安を減らすことができます。
もちろん説明したからすぐに採血ができるようになるわけではありません。
それでも、安心して医療を受けるための大切な土台になります。
普段の生活の中でできるプレパレーション
病院の検査は事前に予定されていることもありますが、受診した結果、その場で急に決まることもあります。
だからこそ、普段から医療体験への見通しを持てるような関わりが役立ちます。
採血ができなかった日の後、我が家では、お医者さんごっこをしました。
ぬいぐるみを患者さんにして、
- 診察する
- 聴診器を当てる
- 注射や採血のまねをする
- 絆創膏を貼る
といった遊びを通して、病院で行われることを知ることができるように。
遊びの中で経験することで、
「病院ではこういうことをするんだ」
という見通しにつながり、不安を和らげる助けになります。
採血が怖い子どもにおすすめの絵本
我が家では、お医者さんごっこだけでなく、採血や病院について描かれた絵本を読むこともあります。
絵本だけで不安がなくなるわけではありませんが、
「病院では何をするの?」 「採血ってどんなことをするの?」
といった疑問に触れるきっかけになります。
実際に経験する前に流れを知ることで、「何をされるかわからない」という不安を減らし、心の準備につながることがあります。
プレパレーションの考え方では、子どもが自分なりに見通しを持てることが大切です。絵本はその第一歩として取り入れやすい方法のひとつだと感じています。
絵本を通して疑似体験することで、「何をするのかわからない」という不安を減らす助けになります。
CLSの講義で体験した「氷の実験」
大学でCLSについて学んだ際、とても印象に残った体験がありました。
氷を手に持ちながら10分間過ごすという実験です。
ただし、グループごとに条件が違いました。
あるグループは、残り時間も分からず、ただ氷を持って待ち続けます。
一方で別のグループは、
- 好きな動画を見る
- シャボン玉を眺める
- 励ましの言葉をかけてもらう
- 残り時間を教えてもらう
という環境で過ごしました。
同じ10分間、同じ氷を持っているにもかかわらず、感じるつらさや時間の長さは大きく違いました。
この体験を通して学んだのは、
つらいことそのものをなくせなくても、不安や苦痛を和らげることはできる
ということです。
採血が怖い子どもに親ができるサポート
採血の痛みをゼロにすることはできません。
しかし、
- 何をするのかを伝える
- 終わりがあることを伝える
- 気持ちを受け止める
- 安心できる大人がそばにいる
- 好きなものや気をそらせるものを活用する
ことで、不安を軽減できる場合があります。
「怖くないよ」
と励ますよりも、
「怖いよね」 「心配なんだね」
と気持ちを受け止めることが、安心につながることもあります。
無理に進めることだけが正解ではない
親としては、
「今回だけだから頑張ってほしい」 「終わればすぐだから」
と思うこともあります。
もちろん、命に関わる治療や緊急性の高い処置では、子どもが十分に納得できないまま実施しなければならない場面もあります。
一方で、急がない検査であれば、不安が強い状態のまま無理に進めることで、病院そのものへの苦手意識が強くなってしまうデメリットが上回る場面もあります。
大切なのは、「できる・できない」だけで判断するのではなく、その子が安心して医療を受けられるようになるために何が必要かを考えることではないでしょうか。
気持ちの整理ができたり、見通しを持てたりすることで、子ども自身が困難を乗り越える力につながることがあります。
今できるかどうかだけではなく、「次につながる経験だったか」という視点も大切にしたいと思っています。
採血ができなかった日も意味がある
採血ができなかったことだけを見ると、つい「失敗だった」と感じてしまうかもしれません。
でも、不安の強い子にとっては、
- 病院に行けた
- 診察室に入れた
- 先生の話を聞けた
- 採血について知ることができた
そんな一つひとつも大切な経験です。
すぐに採血ができるようにならなくても、その子なりのペースで不安を減らす準備を重ねていくことには意味があります。
結果だけでなく、そこまでの過程や頑張りにも目を向けながら、親子で少しずつ進んでいけたらいいなと思っています。
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